ブラッカイマー、エイブラムス…エグゼクティブ・プロデューサーで見たい海外ドラマは決まり!?
海外ドラマで“「○○○」のエグゼグティブ・プロデューサー(製作総指揮)、ダレダレの新しいドラマ”というウタイ文句を見たり聞いたりしたことはないだろうか。
ジェリー・ブラッカイマー(『CSI:』シリーズ)、デヴィッド・E・ケリー(『アリーmyラブ』)、J.J.エイブラムス(『LOST』)、ションダ・ライムズ(『グレイズ・アナトミー』)、ダレン・スター(『SEX AND THE CITY』)…この名前だけで、もう見なくっちゃという気になってしまう人も少なからずいるのでは。
TVドラマは映画と違って“監督がダレダレ!”で番組を見るということがほぼ皆無なので、おそらく私たち視聴者の頭の中では、映画における監督のポジションを、TVドラマではエグゼグティブ・プロデューサーが担っているんじゃないかと思う。
TVドラマのプロデューサーとは何する人よ?と思うでしょう。私も思う。プロデューサーとは、企画段階で製作会社やTVネットワークに「この企画はどうか?」とピッチ(プレゼン)したり、最初のスタッフやキャストを集めたり、脚本や撮影の内容もチェックして、完成したらPRにも協力…と作品の最初から最後までお付き合いする人たちのこと。もちろん1人じゃ出来ないので、1つの番組(エピソード)にピンキリでたくさんの担当別プロデューサーが存在するわけだ。
プロデューサーの中でも、私たちが名前を耳にしたことのあるような超大物は、たいてい“エグゼグティブ・プロデューサー”の肩書きを持っている。製作総指揮、つまりプロデューサー陣の中でもトップの人たちである。有名な監督だったり、俳優だったりすることもある。こういう人たちは、たいていはPRのための名前貸し。主演俳優が2シーズン目あたりから、エグゼグティブ・プロデューサーに名前を連ねることも多くなったが、中には積極的にドラマの中身に口を出す人もいるようだ。
いきなりプロデューサーを名乗っても、よほどのお金か人脈がない限り、商業的な世界TVドラマの世界では相手にしてもらえないだろうから、先に挙げた一般にも知れ渡っているような超大物は、もともと脚本家(ケリー、エイブラムス、ライムズ、スターその他多数)だったり、広告会社のクリエーターのディック・ウルフ)だったり(ブラッカイマー、『LAW&ORDER』シリーズ、大手映画会社やタレント・エージェンシーの社員(『アグリー・ベティ』のベン・シルバーマン)だったり、と前職で成功して、プロデュース業に転向した人たちが多い。
エグゼグティブ・プロデューサーと区別したいのが、“クリエーター”の存在である。クリエーターとは、文字通り番組を一から考案した人。『CSI:』シリーズを例にすると、米でも日本でも“ブラッカイマーの”と紹介されることが多いが、実際にこのシリーズを考案したのは脚本家のアンソニー・E・ズイカー。『CSI:科学捜査班』以前、ズイカーは無名の脚本家志望に過ぎなかったため、ブラッカイマーはエグゼクティブ・プロデューサーとして、業界での抜群の人脈と一般への知名度を生かし、番組を制作・放送へと至らしめる役割を果たしたのだ。ズイカーは、番組開始時には、クリエーターとして脚本も書いていたのに、エグゼグティブ・プロデューサーの肩書きをもらうことはできず、“CO(共同)”が付いていた。推測に過ぎないが、当時ペエペエで人脈も実績もないズイカーが、天下のブラッカイマーと同列のエグゼグティブ・プロデューサーなんて、いくらクリエーターでもずうずうしいということだったんじゃないかと思う(『CSI:科学捜査班』は放送と同時に大ヒットとなったので、結局ズイカーはシーズン1途中からクリエーター兼エグゼグティブ・プロデューサーに昇格)。
一方の“クリエーター”=エグゼグティブ・プロデューサーのパターン。前述の通り、脚本家上がりのプロデューサーが多いので、その中でもとびきり才能と運があれば、自分で考案した作品がTVドラマ化され、晴れて“クリエーター”となれるのである。たとえば『グレイズ・アナトミー』のションダ・ライムズ。ライムズはそれまで連続TVドラマの経験はなかったが、ブリトニー・スピアーズ主演映画『ノット・ア・ガール』(2002)、アン・ハサウェイ&ジュリー・アンドリュースの映画『プリティ・プリンセス2/ロイヤル・ウェディング』(2005)など話題作の脚本を手がけた実力者だったから、企画さえよければ、ズイカーのように後見人(ブラッカイマー)は必要なかった。クリエーター兼エグゼグティブ・プロデューサーとして、『グレイズ・アナトミー』は、初めから誰のものでもない、ライムズのワンマンショーである。
個人的にはエイブラムスやスターの名前があったら絶対見るし、『NIP/TUCK ハリウッド整形外科医』のライアン・マーフィー、『ゴシップガール』のジョシュ・シュワルツも好き。新しい人では『ギルモア・ガールズ』のレベッカ・カーシュナーも注目している。NAVIの読者のみなさんにとって、絶対見たいエグゼグティブ・プロデューサーは誰ですか?
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J ・J・ エイブラムス:(Ima Kuroda / www.HollywoodNewsWire.net)/ジェリー ・ ブラッカイマー(Ima Kuroda / www.HollywoodNewsWire.net)/デヴィッド ・E・ ケリー (www.HollywoodNewsWire.net)/ションダ ・ ライムズ :(Izumi Hasegawa / www.HollywoodNewsWire.net)
ライタープロフィール

橋本裕美子
海外ドラマ好きが高じ、アメリカ在住を決行した筋金入りのドラマニア。そんなのないけど、アメリカン・ドラマ親善大使の座を狙っている。
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