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2009.11.30

『ビッグバン★セオリー』『ハーパーボーイズ』そして『ダーマ』、シットコムは吹替版で観るべし!

日本ではCS放送の開局と同時に多くの海外番組が放送されるようになった。そのジャンルはリアリティ・ショーにオーディション番組、SFドラマや超常現象モノ、ラブストーリーやコメディと実に幅広い。
放送形態に注目すると情報系の番組は圧倒的に字幕版が多いが、海外ドラマは字幕・吹替版の同時放送というパターンも多い。なかでも「シットコム(※シチュエーション・コメディ)」に分類される作品は、吹替版の先行放送が目立つ。たとえば、最近放送を開始した『ビッグバン★セオリー』や人気の『チャーリー・シーンのハーパー★ボーイズ』『サマンサWho?』などなど。それだけ吹替版の支持が熱い証拠だろう。
ではなぜシットコムは吹替版なのか? シットコムの名作『ダーマ&グレッグ』(NHK放送時のタイトルは『ふたりは最高! ダーマ&グレッグ』)の第1話を参考に、その理由を探ってみよう。


●吹き替えに求められる、「笑い」のツボ

国が違えば笑いのツボもビミョーに違う。しかしシットコムには「観客の笑い声」という必須アイテムが含まれている。どこの国で放送しようと、あの独特の笑いは本国と同じタイミングで聞こえてくる。そのため笑い声と同時に、視聴者がホントに笑えるかどうかが重要だ。


●吹き替えの目的は、原文重視?笑い重視?

視聴者はシットコムを観て笑いたい。だが日本とアメリカとでは文化的な背景が大きく異なり、原意通りに訳しても笑えないときがある。
とはいっても字幕の場合は大胆な変更は難しい。耳からの情報と字面の違いが気になる可能性があるからだ。また語尾や言葉で特徴づけようとすると、かえってジャマになることもある。やたら「~」やカタカナが多用され、キャラづけの語尾が入るなど、アクの強い字幕にウンザリした経験はないだろうか? やっぱり字幕はシンプル・イズ・ベストなのだ。
その点、日本語吹替版はシットコムを楽しむのにさまざまな面で適している。


●吹き替えだって、原意は同じでメリハリのある訳文に!

【具体例 1】
【第1話:冒頭3分:グレッグのオフィス】
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運命の出会いを果たしたダーマとグレッグはグレッグのオフィスで再会。ダーマが新聞を片手にグレッグの事務所を探し当てた方法を語る。
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吹替:頭からコートかぶってるヤっちゃんにひっついてるのあなたでしょ?
原文:See, that's you right next to the guy with the coat over his head.
(直訳:あなたはコートをかぶった男の隣にいる)

⇒原文通り「コートをかぶった男の隣にいる」と言われても笑う理由がわからない。しかし、ダーマ役を演じる雨蘭咲木子さんの声で「コートかぶってるヤっちゃんにひっついてる」なんて言われると思わず吹き出してしまう。


●吹き替えだから、的確なキャラ付けが成功!

【具体例 2】
【前半10分~:ダーマの家】
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ダーマから結婚の報告を聞いたジェーンがグレッグに抱きつき、ひと言告げる。
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吹替:ダーマを泣かせてみ。SMの女王も泣いて逃げるような罰与えてやっからね。
原文:If you cause my friend any emotional pain whatsoever I'll punish you in ways you can't even imagine"?
(直訳:私の友達を傷つけるようなマネをしたら、想像を絶するような方法で罰してやる)

⇒厳密にいえば「SMの女王」なんて言葉は原文にはないが、ジェーンならここまで言っちゃいそう! しかも直訳よりも100倍笑える。


●吹き替えならば、大胆なアレンジもOK!

【具体例 3】
【中盤14分50秒~:グレッグの実家】
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電撃結婚の報告をするダーマとグレッグに唖然とするグレッグの両親、エドワードとキティ。
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エドワード「君を責めてるんじゃないよ、カルマ(※業)」
(I'don't mean to offend you, Karma." 君を責めてるんじゃないよ、カルマ)
ダーマ「ダーマ」("Dahma." ダーマ)
キティ「アクマ(※悪魔)よ」("Whatever." どうでもいい)

⇒"Whatever"を辞書で引くと「いずれにしても/ともかく/どんなことであれ」などのほか「勝手にしろ」といった意味が載っている。「どうでもいい」という投げやりな言葉でもおかしさはあるのだが「カルマ」「ダーマ」と「『マ』繋がり」の「アクマ」とくるとおかしさが増す。


●吹き替えならば、表情に集中できる!

シットコムといえば軽妙なセリフの掛け合いのほか、各キャラが見せる多彩な表情やジェスチャーも見所のひとつ。「ダーマ&グレッグ」第1話の16分以降、2人は車の中でケンカする。そのときクルクル変わるダーマの表情に注目だ。画面上で文字を追う必要のない吹替版だからこそ、表情もじっくり楽しめる。

どうだろう? 質の高いシットコムは観ているだけで十分楽しい。しかし日本人に馴染む、日本流のアレンジが加わると数倍楽しくなるのだ。
今後も続々と日本上陸が期待されるシットコム。観るなら吹替版が絶対にオススメだ。ぜひ1度お試しあれ!


■『ダーマ&グレッグ』
【放送】FOXライフ
【DVD発売】20世紀フォックスホームエンターテイメント
吹替翻訳:徐賀世子

ライタープロフィール

YOOSEKU(ヨーセク)

YOOSEKU(ヨーセク)
ライター兼映像翻訳者。海外ドラマ関連の執筆のほか、ドラマや映画の字幕・吹替翻訳を手がける。好きな海外ドラマは『LOST』と『ミディアム』。三度の飯と海外ドラマ、独立系映画をこよなく愛する。現在、ミディアムの公式ブログを担当中。

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