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2009.07.29

『アーノルド坊やは人気者』

ハートフルコメディの決定版!
「冗談は顔だけにしろよ?」

ニューヨークのハーレムでたくましく生きている黒人兄弟のアーノルドとウィリス。彼らのお母さんはパークアベニューに住む白人の富豪ドラモンド家の家政婦をしながら、女手一つで2人を育てている肝っ玉母さんだったが、ある日突然、亡くなってしまう。そのことを気に病んだ富豪のドラモンド氏、天涯孤独となってしまったアーノルドとウィリスを養子として迎える決心をする…。
かくしてドラモンド家は、ドラモンドの1人娘キンバリーと新しく雇い入れた家政婦ギャレット、そしてアーノルドとウィリスの5人での暮らしが始まる。そんな一風変わった彼らの毎日を面白おかしく描き出すホームコメディの伝説的な傑作ドラマが、『アーノルド坊やは人気者』

白人社会における黒人への偏見がなくなりかけてきた1970年代後半に始まった本作。人種のるつぼといわれるニューヨークを舞台に、白人の富豪がハーレム出身の黒人兄弟を養子に迎えるという、一見ありそうだけど実際にはまず“あり得ない”導入。コメディのはずだけど、シリーズ全体のテーマは家族愛と人種差別問題。特に人種差別問題については「虐げられる黒人」目線というよりは、むしろ「偏見に気付いたときの白人の戸惑い」に着目しているところがポイント。問題に直面した白人の困惑をアーノルドが絶妙なタイミングで茶化し、あっけらかんと笑い飛ばす。白人至上主義の世界観を、黒人でしかも幼い子どものアーノルドが歯に衣を着せない物言いで有無を言わさずひっくり返す痛快さがまさに人気の秘訣だろう。

そんな『アーノルド坊やは人気者』の魅力の1つとしてよく挙げられるのが、ユニークな登場人物。中でもダントツ人気なのがアーノルド。「冗談は顔だけにしろよ」という決めセリフが超有名なアーノルドだが、実際には番組中に彼を中心に繰り広げられる小気味よい丁々発止の会話とボディランゲージの応酬に注目する人も。すべての子どもが無垢とはいわないが、アーノルドの今にもたれ落ちそうなほっぺと小さな背丈は見る者に天使のような印象を与えるのだが、現実に彼の口から出てくるジョークは、辛辣というか、まさしく小悪魔級。最初の頃こそ辛辣なジョークに驚きもするが、次第にそれなしでは我慢できなくなってしまう中毒症状になること必須。ちょっぴりドジで寂しがり屋の8歳児が持ち前の知恵とジョークで窮地を乗り越えていく様子にはついほっこりしてしまうかも。
アーノルドは、自分の背の低さと小太り体型にコンプレックスを感じているようだが、ぽっちゃりほっぺとおちょぼ口にも複雑なところがあるかも。特にぽっちゃりほっぺは挨拶代わりに触られることも多く、触っている人はとっても気持ちよさそう。猫の肉球をふにふにする感覚か。やっぱり、触ってみたい…。

一方、お兄ちゃんのウィリスはアーノルドと違って背も高くスマート運動神経も抜群で女の子にもモテモテ(って、死語?)。ジョークのセンスもアーノルドに負けず劣らず、2人のやりとりは大阪芸人を見ているかのよう(やっぱり吹き替えだよね)。性格は長男らしく弟思いで自分の身を挺してもアーノルドをかばうこともしばしば。その代わりに正義感も強く、ズルや嘘にはめっぽう厳しい。アーノルドのいたずらを見て見ぬふりをすることができないし、一緒になって悪のりするといったこともほとんどない。ウィリスの一歩引いて全体を眺めようとする姿勢はまさに母子家庭に育った長男の宿命的性格かも。「お兄ちゃんだから…」と諭されながら育ってきた長男にとって共感できるところがいくつも。いつだって弟はやんちゃでかわいい存在なのだ。

さて、2人の父親となったフィリップ・ドラモンドは、ドラモンド商会の社長さん。アーノルドとウィリスの2人を養子に迎えたことで白人社会が持つ黒人への偏見を目の当たりにするが、決してうやむやにすることなく果敢に立ち向かっていく。これって実はアメリカ人が思い描く“理想の父親像”に近いのかもね。特に、彼の母親が隠し持っていた黒人に対する捨てきれない偏見に真っ正面から向き合って批判する姿は、人種問題に対する世代間のギャップを乗り越えようとしていた当時のアメリカの苦悩を代弁しているかのよう。確かにドラマで描かれるドラモンドの周囲はまだまだ白人社会。アーノルドとウィリスを自分の息子として紹介するときに漂う冷ややかな空気は観客のブラックな笑いを誘うに十分だ。ときには「すまん、言葉を探す時間をくれないか」と複雑な心境を正直に吐露する人物もいたりするが、彼らに対するドラモンドの対応が“玉虫色”だったりするところも妙にリアル
また、ドラモンド氏は、大金持ちの資産家にしてはもったいぶったところがない。訪問者が来ると「ドアと鍋のふたを開けるのは大得意」と軽口をたたきながら、家政婦よりも先にドアを開けに行くなど、気さくなところが好感持てる。ただ、彼のジョークは周囲を凍り付かせることが多く、家政婦のギャレットからは「発想の軽薄さが肌に合わないのよね」と酷評されるほど。そんなに悪くないと思うんだけど、アーノルドの気の利いたジョークに比べるとやっぱり、ね。

で、家政婦のギャレット。彼女は白人だけど、黒人に対する偏見はほとんど持っておらず、常に公平な判断を下せるアーノルドとウィリスの良き相談相手だ。また、弱気になっているアーノルドの背中を押してやることも多く、成功しても失敗しても温かく見守ってくれる
そんな一家のお母さん代わりを務めるギャレットだが、実はかなりのナルシスト。鏡を磨きながらも自分の姿を眺めながら「なんて美しい私」と自己陶酔に浸ることも。ほかにも銀の食器の磨き具合について、自分の顔がキレイに映るかどうかを判断基準にするなど、自分が大好きな性格らしい
そうそう、ギャレットが家政婦を努めるのはシーズン2の途中まで。その後はブルベーカー、ギャラガーと代替わりしていきます。

そして、最後に紹介したいのは、当時のアメリカ少年ズの間で彼女にしたい女の子NO.1だったドラモンドの一人娘キンバリー(ダナ・プラトー)。金髪で青い目、そばかすが印象的な彼女は、容姿は端麗にして頭脳は明晰。放送当時はお茶の間の人気を見事にかっさらい、全米のみならず世界中の男子から注目を浴びることに。劇中では独立心が旺盛で人に指図されることが大嫌いなやんちゃな美少女を好演。この恋多き年頃の少女にアーノルドが振り回されることもたびたび。ちなみに、キンバリーの部屋に無断で入ると蹴り入れられるんで、ご注意あれ。

そんなアーノルドとその仲間たち(?)を紹介してきたわけだけど、彼を中心としたジョークの応酬がおもしろい!と言えてしまうのは、日本ではやっぱり吹き替え版の魅力がなせる技
アーノルドの決めセリフの「冗談は顔だけにしろよ」にしても、オリジナルでは「What are you talking about, xxxx!」(xxxxには人名や事物が入ることが多い)となっていて、このどうとでもとれる言葉にわざわざ意味深長とも言えるこの訳語を当てるセンスはやっぱり吹き替え版ならでは。ほかにも、アーノルドが大事に育てていた出目金の名前もオリジナルでは「アブラハム」となっている。それを「ガッツ・出目クロ」とするあたり、吹き替えの遊び心が伝わってくる。ちなみにアブラハムとはノアの洪水後に現れた預言者で宗教上の重要な人物とされているが、ペットの魚にそんな大仰な名前を付けるアーノルドのセンスもよくわかりませぬ…。

本国アメリカでは1978年から1986年まで全8シーズン、189話が作られ、アメリカだけでなく、ヨーロッパやアジアの各国でも放送された世界的な人気番組。もちろん、日本でも繰り返し放送されてきたが、地方のローカル局で夕方に放送されることが多く、意外に東京生まれの東京育ちの人々には知名度が低く、北海道や西日本で人気だったりする。ともあれ、この番組を見るために学校から慌てて家に帰ったという人も少なくないだろう。

ところで、待つことうん十年と過ぎつつある2009年8月26日ファン待望のDVDがやっと日本発売! アーノルドとの再会を果たしたい方も、お初な方も、この夏はアーノルドの魅力にとっぷりとはまってください。



「アーノルド坊やは人気者」の公式HP

■アーノルド坊やは人気者 コンプロート1stシーズンDVD-BOX
【価格】¥8,400(税込)
【収録内容】4枚組
【発売元】ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

ライタープロフィール

ドラマナビ編集部

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コメント

1stコンプリートDVDを買いました。
面白かった。
2stコンプリートDVDは出ないのかな。

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