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2009.05.04

『CSI:科学捜査班』と『WITHOUT A TRACE/FBI 失踪者を追え!』のクロスオーバーが実現!

■クロスオーバーって?

海外ドラマの世界では、「クロスオーバー」という言葉をよく耳にする。これは、あるドラマ(作品)の登場人物が、別のドラマ(作品)に登場すること。実は意外と昔からとられている手法なのだ。日本映画の『モスラ対ゴジラ』なんかもそう。アニメなら、『オバケのQ太郎』の最終話に翌週からの新番組『パーマン』のパーマン1号が登場したなんていう例もある。異なる世界観の作品が共通の空間で物語を展開していくことにより生まれる意外性は、双方の作品のファンにとって、それはそれは大きな魅力だ。

さて、そんな“夢の共演が実現!”という表現がピッタリのクロスオーバー。実は、視聴者にとってのメリットのみならず、製作者サイドにとってもメリットが大きい。
たとえば、先に挙げた『オバケのQ太郎』×『パーマン』のように、すでに認知度が高い番組が、新番組のキャラクターを登場させるケース。新番組の宣伝効果としてはこれに勝るものはない。
海外ドラマの世界でいえば、『CSI:科学捜査班』の第2シーズンに、そのあとに始まるスピンオフ番組『CSI:マイアミ』のメンバーが登場した「ベガス-マイアミ合同捜査」や、『グレイズ・アナトミー』の第3シーズンにやはりあとに始まるスピンオフ番組『プライベート・プラクティス 迷えるオトナたち』のメンバーが登場した「夢を求めて PartI、PartII」などがこのパターン。既存番組と新番組の制作費を合算すれば派手な演出も可能になるし、すでに愛着のあるキャラたちと新番組のキャラたちを一緒に登場させることで、視聴者に新しいキャラたちを受け入れてもらいやすくなるという効果も期待できる。たとえば、あのホレイショがクロスオーバーじゃなく、突然ピンで登場していたとしたら、拒否反応を示したくなるCSIファンがもっと多かったのでは? なんて思ったり。
また、視聴率に伸び悩む番組と高視聴率番組をクロスオーバーさせることで、視聴率が低い番組の人気の底上げを狙うようなケースもある。
『CSI:マイアミ』の第4シーズンと『CSI:ニューヨーク』の第2シーズンでのクロスオーバー、「NYからの使者」「再びの地、NY」などがそう。先に挙げた『グレイズ・アナトミー』(第5シーズン)と『プライベート・プラクティス 迷えるオトナたち』(第2シーズン)も、最近この手法で大当たり! 『プライベート・プラクティス 迷えるオトナたち』は、あの『デスパレートな妻たち』を凌ぐ視聴者を獲得したというからスゴイ。
そして、今回実現したのが『CSI:科学捜査班』と『WITHOUT A TRACE/FBI 失踪者を追え!』とのクロスオーバー。
今回の場合は、どちらも高視聴率をキープしている人気ドラマ。となれば、グリッソムが「ジャック」、ジャックが「グリッソム」と呼び合う姿を拝めるだけでも、ファンとしては垂涎モノ。現地では、見事、その週の視聴率で1、2位を独占! クロスオーバーの効果のほどを実証している。

【海外ドラマにおけるクロスオーバーの例】
『CSI:科学捜査班』×『CSI:マイアミ』
『CSI:マイアミ』×『CSI:ニューヨーク』
『CSI:ニューヨーク』×『コールドケース』
『グレイズ・アナトミー』×『プライベート・プラクティス 迷えるオトナたち』
『Xファイル』×『ミレニアム』
『ロー&オーダー』×『ホミサイド/殺人捜査課』
『ER緊急救命室』×『サード・ウォッチ』
『スターゲイト SG-1』×『スターゲイト アトランティス』
『アリー my Love』×『ザ・プラクティス』
『シカゴ・ホープ』×『ピケット・フェンス』 など

■クロスオーバーは同じ放送局の番組であることが基本

クロスオーバーは概ね高視聴率を期待できるため、製作者サイドにとってはなかなかオイシイ話。しかし、基本的に、海外ドラマのクロスオーバーは放送局が一緒というのが暗黙のルールだ。だって、自局の番組が他局の番組の視聴率アップに貢献しちゃったら本末転倒というもの。『アリー my Love』と『ザ・プラクティス』の例のように、放送局は違っても製作者が一緒だからクロスオーバーが実現したケースもあるけれど、いずれにせよ、放送局か製作者のいずれかが一緒でないとクロスオーバーの実現は難しいのだ。
もちろん、今回の『CSI:科学捜査班』と『WITHOUT A TRACE/FBI 失踪者を追え!』も同じ放送局(CBS)、しかもどちらもジェリー・ブラッカイマー作品である。

ところが、これを日本に持ってくるとなると話はまったく別。だって、日本の『CSI:科学捜査班』の放送局はWOWOW。配給・制作は角川映画。一方の『WITHOUT A TRACE/FBI 失踪者を追え!』の放送局はスーパー!ドラマTVで、配給はワーナー・ブラザース テレビジョン、制作は東北新社。え!?テレビ局も制作環境もまったくバラバラじゃん!! 「現地と同じように日本で同日一挙放送は難しいのでは…」と懸念したファンが多かったのもこういう事情から。
しかし!
驚くことなかれ、今回は日本でもクロスオーバー・エピソードの同日一挙放送が実現した!
「視聴者に楽しんでもらいたい」「海外ドラマの魅力をより多くの人に伝えたい」という共通意識のもと、双方の関係者の間で調整が行われた結果のこと。これは、かなーり画期的なことなのだ!

■局を越えたクロスオーバーの難しさ

こうして日本で実現した「放送局を越えたクロスオーバー」だけれど、やはり制作サイドにはいろいろ難しい面もあったよう。

たとえば『WITHOUT A TRACE/FBI 失踪者を追え!』の放送シーズンの問題。現在、スーパー!ドラマTVでは第4シーズンを放送中。けれども、今回のクロスオーバーは第6シーズンの第6話にあたる。実に、2シーズンも先行して放送することになってしまうのだ。むろん、吹き替えを担当する役者さんたちも、間のキャラクター設定を埋められないまま収録に望むことに。
「アフレコ現場では、『サマンサがセクシーになったのでは?』『ジャック・マローンの体型に貫禄が出てきたんじゃないの?』なんて声も挙がっていましたよ。」(WOWOW番組担当小野さん)やはり、演じる側にも多少の戸惑いがあったとみえる。

また、日本語タイトルの付け方にも実は苦労が…。原題は「Who & What」と「Where & Why」で、2つのタイトルが対を成すしゃれたもの。けれども、これをそのまま日本語に直訳してタイトルにするとカッコよく決まらない。そこで、『CSI:科学捜査班』の制作サイドが「絆に飢えた狼」という日本語タイトルを先に提案。これを受けて『WITHOUT A TRACE/FBI 失踪者を追え!』の制作サイドが「狼の末路」というタイトルに決定したのだとか。制作会社が異なるだけに、タイトルに前後編の関係性を表すのにも、よりコミュニケーションが求められたというわけだ。

翻訳の面でも問題はある。慣れた演出家・翻訳者だからこそ、グリッソムらしさ、ジャックらしさを日本語のセリフにこめることができるというもの。スタッフが逆になれば、『CSI:科学捜査班』でのジャック像と『WITHOUT A TRACE/FBI 失踪者を追え!』でのグリッソム像が不自然になってしまう可能性もあるのだ。そうなれば、視聴者からのブーイングは必至…。結局、双方の演出家・翻訳者が互いの翻訳原稿をチェックし合ったのだとか。互いのドラマの雰囲気を壊さないことが前提条件だけれど、クロスオーバーするキャラクターのイメージを忠実に再現することも必要…。制作サイドの苦労がうかがい知れる。

また、制作会社が異なれば、アフレコの収録スタジオも変わってくる。今回は、ジャック役のあおい輝彦さん、グリッソム役の野島昭生さんも、それぞれ別のスタジオでのアフレコ収録に参加。野島さんは、収録中にも「グリッソムならいつもはこういう言い回しをするのでは?」とグリッソムらしい表現を最後まで追求していたとか。確かに、同じキャラクターを演じ続けている役者さんにしかわからない、微妙なセリフ回しっていうものがあるはず。野島さん、さすがです!

■ズバリ、見どころは?

さて、こうして実現にこぎつけた今回のクロスオーバー・エピソードの一挙放送。やはり見どころは、大人気ドラマの主役が、互いのドラマでどんな顔を見せてくれるのか、これに尽きる!
グリッソムは、見識が高く冴えた頭脳の持ち主。度が過ぎるほど仕事熱心で、オタクっぽさがある意味最大の魅力。その突き抜けた専門性には、“いやみ”ではなく“いやし”の趣きすら感じられる。一方のジャック・マローンは、経験豊富なベテラン。捜査官としては超一流だけれど、部下(サマンサ)との不倫や、上層部との対立、妻との離婚問題などトラブルも多く、感情的になることもしばしば。でも、そんなところが人間臭くて視聴者のハートをグッとつかむ。
このように、どちらも個性が際立ったキャラクターだけに、それぞれがアウェイの地でどのような存在感を演出するのか。ジャックとCSIメンバーたちとの絡み、グリッソムとFBI・NY支局失踪者捜索班メンバーたちとの絡み、それを観られるだけでもテレビの前で手を合わせたくなってしまう。

また、CSIとFBIという立場の違いによる、捜査手法の違い、被害者に対する立ち位置の違いなどにも注目したい。科学で勝負するCSIと、足で動くFBI。両者がどのような視点の違いを見せてくれるのか楽しみだ。

さらに、もう1つの見どころは、『WITHOUT A TRACE/FBI 失踪者を追え!』の字幕放送。スーパー!ドラマTVでの放送は二カ国語版のみのため、『WITHOUT A TRACE/FBI 失踪者を追え!』の字幕版放送はファンにとっては貴重。あおい輝彦さんの声も渋くてステキだけれど、生ジャックの声もぜひ堪能してもらいたい!

さてさて、こんな感じで紹介してきた今回のクロスオーバー。同日一挙放送で観賞できることに感謝しつつ、本放送を思いっきり楽しもう!

CSI:8 科学捜査班×WITHOUT A TRACE/FBI 失踪者を追え』~「絆に飢えた狼/狼の末路」
WOWOW【二カ国語版】5月9日(土)よる10:00
WOWOW【字幕版】5月14日(木)よる11:00

『WITHUOUT A TRACE/FBI 失踪者を追え!シーズン4』
海外ドラマ専門チャンネル スーパー!ドラマTVにて毎週月曜夜10:00ほか放送中!
TM&(C)Warner Bros. Entertainment Inc.

ライタープロフィール

やなぎだるみ

やなぎだるみ
海外ドラマで情操教育に取り組む子持ちライター。 ソフトウェア解説書の執筆等、テクニカルライティングの分野でも活動中。 最近は、クリンゴン語の研究にはまっている。

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