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2009.04.08

『ドクター・クイン/大西部の女医物語』

わたしはレディーじゃない!医者です!
あのドラマがDVDで戻ってきた!

マイクことミケーラ・クインはボストン生まれ。医師である父親は、すでに4人の女の子がいたため、男の子を待ち望んでマイケルという名前を用意していたが、またしても女の子だったため、ミケーラという名前に。5人姉妹のうちただ1人、医師の道を目指したが、女性である、というだけで、あちこちの医大から入学を断られ、最終的に入学できたのが、ペンシルベニア女子医専。卒業後は、父親ともに開業医として活躍していたが、父親の死とともにその職を失いそうになる…。これが現代だったら、どうということはない展開であるけれど、彼女の生きた時代は、女性の地位がまったくといっていいほど認められていない19世紀半ばのアメリカ。南北戦争やインディアン戦争といった血なまぐさい出来事が続く一方、ゴールドラッシュに浮かれまくった時代。ミケーラ・クインも女医として開業するという目標を達成するため、新天地コロラド・スプリングスへと向かうが…。

舞台となるコロラド・スプリングスは、コロラド州に実際にある都市。マイクが住み始めたころは、まだまだ町が出来上がりつつある時期で、“堅気の独身女性は1人もいない”といわれていたところ。そして床屋や雑貨屋、酒場を経営しているオトコたちも極めて排他的。“もともと住んでいた”アメリカ・インディアンと敵対しているのはもちろんのこと、自分たちの“あとからやって来た”スウェーデンなどからの移住者たちも受け入れない。もちろん、女性の医者なんて論外。そんななかで、乗馬も掃除も料理もできなかった(ボストンでは召し使いがいた…)マイクが奮闘し、だんだんと町の人々に受け入れられていく姿は爽快だ。

ということで、主人公マイク・クインをとりまく人々を紹介しよう。
まずは、マイクを女医として最初に受け入れてくれた女性シャーロットの3人の子どもたち。マシューとコリーン、ブライアンの3人は、母親の急な死によって、母親未経験、しかも家事のまったくできないマイクに引き取られるはめになる。
マイクに家を貸してくれたサリーは、シャイアンと仲のいい謎の男。雑貨屋にあった「犬とインディアン、お断り」の看板をトマホークの一撃で破壊、ケガを負ったブラック・ケトルを助けるなど、シャイアンといったアメリカ・インディアンたちを影に日向にと支援している。
町の人々も “大いなる西部”らしく個性的なヤツラが勢ぞろいだ。
なにかにつけてマイクにいやがらせをしている医師もどきの床屋ジェイク。女医の診察は絶対に受けない、と言い張る雑貨屋のオヤジ、ローレン。奴隷時代のトラウマを抱え、黒人として唯一、町で鍛冶屋を営むロバート・E。酒場の女の子にやさしいホレス。喧嘩っ早い酒場の主人ハンク。そして、男性の医師を町に呼んだつもりが女医がやってきて戸惑いが隠せない牧師のジョンソンローレンの妹、オリーブはなんやかや文句を言いつつ、マイクを助けることも。一見、排他的に見える町の人々だが、物語が展開するにつれ、さまざまな葛藤を抱えていることがわかってくる。
そして、マシュー、コリーン、ブライアンという3人の子どもたちとマイク、サリーの2人が、擬似家族からホンモノの家族へとなっていく過程は、このドラマの見どころのひとつでもあるのだ。
それだけではない。シャイアンのチーフ、ブラック・ケトルを始め、実在の人物であるシビントン大佐、カスター将軍(ほんとうは中佐)なども登場する。だいぶ脚色されているとはいえ、当時の史実がかなり織り交ぜられているところにも注目したい。

もうひとつ、当時ならではの医療技術を描いているところもポイントだ。
当時のアメリカの医療技術について記した書籍『外科の夜明け』などにもあるように、19世紀は現代医療のルーツとなるさまざまな医療技術が発達途上にあった時代麻酔の技術が確立されつつあったのもこのころだし、細菌などによって病気が感染するという考え方が周知されるようになってきたのもこのころ。マイクがコロラド・スプリングスで最初の外科的手術をしたのは帝王切開だったけれど、このような手術ができるようになったのも、麻酔技術の発達のおかげなわけで。といってもマイクが使っていたのはクロロホルムかアヘンチンキのようだけど…(きっと痛いに違いない!)。
それにしても、町の人たちはみんな暇なんだな。マイクが手術をする都度、みんな群がるんだから。電報打つだけでも人だかりだ!
蛇足だが、マイクが卒業したというペンシルベニア女子医専。これは実在したペンシルベニア女子医科大学のことだろう。当時のペンシルベニア女子医科大学には、日本からも女性の留学生がいたというから、そっちにも驚きだ。

これまでにも“大いなる西部”開拓時代を主題にしているTVドラマは、『ローン・レンジャー』『ローハイド』を始め、『大草原の小さな家』『ヤング・ライダーズ』とさまざまにあった。ただ、『ドクター・クイン』が異色なのは、当時の医療技術女性の社会進出、そしてアメリカ・インディアンを迫害してきた実際の出来事などを扱っているところにあるといえる。原題は『Dr. Quinn, Medicine Woman』。“Medicine Woman”という呼び名は、ドラマのなかでも重要な意味を持つ。マイクをとりまく社会状況に注目しつつドラマを見ていくと、アメリカ現代社会の源流となるこの時代のことがより理解できるかもしれない。

それにしても、この秀作ドラマが日本語版DVDとなって、やっと、やっと、やっと、帰ってきたことは、海外ドラマファンにとってものすごい朗報だった。マイク役のジェーン・シーモアの美しさ(元ボンドガールだもんね)もさることながら、故・范文雀さんの当時の凛とした吹き替えがそのまんまというのもうれしい!!! 
次は『ヤング・ライダーズ』の日本語版DVD化を待ち望む!



●『ドクター・クイン/大西部の女医物語 シーズン1 DVD-BOX

【発売元】   ドクター・クイン制作委員会
【販売元】  ポニーキャニオン
【発売日】  2009年4月1日
【価格】   18,900円(税抜価格 18,000円)/6枚組
(C)Episodes: © 1993 CBS Broadcasting Inc. Photos: ©1993CBS Broadcasting Inc. CBS, the CBS Eye Design and DR. QUINN MEDICINE WOMAN are trademarks of CBS Broadcasting Inc. All Rights Reserved.

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ドラマナビ編集部

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