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2008.10.20

『フォルティ・タワーズ』

30分があっという間に過ぎていく
スピード違反確実の暴走シットコム


知っている人には超有名なTVシリーズ。知らない人もテレ東で放送されていた『Mr.チョンボ危機乱発』といえば、「ああ、あのおバカ番組ね!」とご即答いただけること間違いナシのイギリス発シットコムだ。主演と演出は、イギリスのコメディ集団「モンティパイソン」のメンバー、ご存じジョン・クリーズ。当時、絶頂を極めていた『空飛ぶモンティパイソン』とは別路線のコメディ番組を作ろうとジョン・クリーズが画策、『フォルティ・タワーズ』はその結果生み出された意欲作だったのだ。

ストーリーは単純明快。「フォルティ・タワー」ホテルの経営者であるバジル・フォルティが巻き起こす常軌を逸した珍騒動を、30分という枠の中で乱発した正統派シチュエーションコメディだ。ところが、『空飛ぶモンティパイソン』の印象が強すぎたのか、初回放送の人気はそれほどでもなく(というか、古くさいと酷評された)、火がついたのは翌年(1976年)の再放送から。その後は再放送のたびに雪だるま式にファンが増え、熱狂的なファンの声援に応えようと待望の第2シーズン(全6話)が1979年にスタート。イギリスを代表するコメディとして国内外を問わず、多くの人々に親しまれることになる。

とまあ、そんな誕生秘話はこれくらいで十分。注目すべきは、立ち過ぎたキャラが諸悪の根元、もとい笑いの源となっている支配人のバジル・フォルティでしょ!ってわけなんで、やっぱ彼を切り口に『フォルティ・タワーズ』ワールドに突入しま~す!

190cmを軽く越える大男のバジル。彼がこの家庭的なホテルを騒々しく走り回るさまは、小さなゲージの中で回転遊具をからからと廻し続けるハツカネズミ的で滑稽。しかしだ、『フォルティ・タワーズ』の面白さはそんな表面的なところに留まらない。世界中の人々を魅了してきたのは、彼のあまりにかっ飛んだ言動と一貫性に欠いた奔放さ。たとえば、臆病者で心配性なのに、人前では大物を気取る子どもっぽさを見せるかと思えば、自分の才能を愚直なまでに信じていて、失敗すると言い訳に奔走するところは正に仕事のできないダメリーマン。自分が得するためなら何でもするくせに、他人が得しようものなら全力で阻止しようとするところなんておばさんそのもの。しかも、制服に弱くて権威があればすかさずすり寄るところは英国の太鼓持ちだ

イイトコガ、マルデナイね…。

でも、でも、そんなしょうがない彼だけど、よいところだってちゃんとある(はず…)。バジルの素敵なところ、それは一生懸命なところだ(きっと…)。たとえば、やると決めたことは最後までやり遂げようと奔走するところはちょっと心打たれるかも。…いやぁ、すいません、嘘つきました。ウザイだけです
でも、杓子定規的な判断というか、個別対応力の低さも、彼ほど徹底していると、それはそれで評価できるかも。迷いがないというか、一本気というか、機械のような融通の利かなさは、ほら、お役所の受付に座らせたら右に出る者なし! 人間でありながら一切の融通を利かさない、まさしく期待を裏切らない男にして産業革命を生んだイギリスが世界に誇る機械的存在、それがバジル・フォルティなのだ! 素晴らしい。彼をこんなに誉めることができるなんて。誉めておきながらなんですが、バジルに誉めるところがあったことに驚き!!

とまぁ、子どものまま大きくなって余計な知恵で身を固め、おばさん的な図々しさも持ち合わせ、長いものにはくるくる巻かれてしまう日和見主義者が支配人を務めるホテルだけど、大丈夫。
だって、彼以外のスタッフはとっても優秀なんだもん。そんな迷物支配人を助けてホテルを切り盛りする若きスタッフと、宿泊されるお客さまとが織りなす人生劇場…、
なんてわかっりやすいシットコムをジョン・クリーズが作るワケあ~りません。それがジョン・クリーズがジョン・クリーズたるゆえん…であります。

そんなわけで、バジルには負けるものの、彼以外のスタッフもそれなりに問題を抱えるトラブルメーカー。やっぱ、トータルで見てもこのホテルはダメダメ!
ダメダメの筆頭はといえば、フロントで友達と長電話中に「Oh, I know!(そうよねぇ)」を連発し、だみ声でヒーヒー気味悪く笑うバジルの奥さんのシビル。バジルと比べると、彼女のマネージャとしての手腕は月とスッポン。でも、お客さまを助けるために(結果的に)バジルの仕事を奪うことがあっても、彼を支えるために尽力することはほとんどないというSっ気たっぷり!? 世界各国どこにでもいる、恐妻家の夫とその妻だ。
ウェイター兼ボーイのマニュエルは英語が全くダメなのに、バジルが「私がスペイン語を使うから大丈夫」と言い張って(たぶん)雇い入れたバルセロナ出身のスペイン人。もちろん、バジルの話すスペイン語はマニュエルに伝わる気配すらなく、ホテルは混乱を極めることに。マニュエルに関していえば、ダメなのは英語が使えないことを承知の上で雇い入れたバジルがダメなのであって、彼のせいではないような気も! その意味ではマニュエルが一番このホテルに貢献しているとも?
そして、人材として一番バランスがとれているのがしっかり者のポリー。小さなホテルだから、というよりは頼りないバジルをフォローするため、ウエイトレスの仕事以外のあれやこれやに忙殺される始末。マニュエルがバジルの後始末に翻弄されているのに対し、ポリーはバジルが失言しないように横で見張るお目付役だ。まあ、なんであれ、マニュエルもポリーもバジルの暴走を止められないという意味ではダメダメなんですが、アハハ

そんな一癖も二癖もあるスタッフが切り盛りするホテルを訪れるのが、貴族や金持ち、精神科医、アメリカ人、ドイツ人といったこれまたバラエティ豊かなお客さま。そのたび、バジルは貴族に媚び、金持ちにへつらい、精神科医から逃げ回り、アメリカ人に敵対心を燃やしてドイツ人に戦争の話を持ち出してしまう。しかも、およそ30分番組とは思えないスピードと密度をもって各エピソードは展開し、最後のオチへと集約していくのだが、このオチがまた秀逸。しかも、期待を裏切る意外なところでまとめるものだから、繰り返し見ても飽きないし、逆にワクワクしちゃうほどいつ見ても新鮮な気持ちで笑わされてしまうのが人気の秘訣に違いない。さあ、みんなもフォルティ・タワーズの面々に翻弄されてみようじゃあ~りませんか! なんてね、アハハ

なお、『フォルティ・タワーズ』は、ブリティッシュ・フィルム・インスティテュート(BFI)が2000年9月に調べた「The BFI TV 100」で堂々の1位に選ばれていま~す。ちなみに、『ドクター・フー』が3位で、『空飛ぶモンティパイソン』は5位よ。30分番組で2シリーズ、合計12作という寡作にもかかわらずのこの結果だけでも本作の人気を語るには十分なのでした。

■『フォルティ・タワーズ
【価格】¥9,450(税込)/3枚組
【収録内容】3枚組
【発売元】ポニーキャニオン
© 1975,1979 British Broadcasting Corporattion

ライタープロフィール

ドラマナビ編集部

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