« 2008年度エミー賞 ドラマ・シリーズの主演女優/男優賞を制すのは!? | トップページ | 『90210』『Fringe』…08年、秋の新ドラマがいよいよスタート! »

2008.09.17

『フェリシティの青春』

青春ドラマの決定版!?
エイブラムス描くフェリシティの恋模様

 
フェリシティの青春』が始まったのは、1998年の9月。ティーンと大学生の絶大な支持を得て、一躍人気ドラマとなった。ストーリーの根幹はいたってシンプル。カリフォルニアに住むフェリシティ(ケリー・ラッセル)は高校卒業のとき、ずっと好きだったベン(スコット・スピードマン)がニューヨーク大学に進学すると知り、ほとんど話したことがないのにもかかわらず、彼を追ってニューヨークへ旅立つ。すでに合格が決まっていた名門スタンフォード大学の医学部を蹴って! 優等生でいわば箱入り娘だったフェリシティが、初めて両親の期待に反して行動するところから、物語は動き出す。

フェリシティはニューヨーク大学でベンと再会を果たすが、ベンはフェリシティの名前すら覚えておらず、それどころか彼女の親友に興味をしめす始末。恋にも慣れない大学生活にも前途多難なとき、学生寮のアドバイザーをしているノエル(スコット・フォーリー)と出会い、いろいろと相談にのってもらっているうちに、フェリシティはいつしかノエルに惹かれてゆくのだが、ベンへの思いを断ち切ることもできない…。こうしてフェリシティとベン、ノエルの三つ巴の戦いじゃなかった、ラブ・トライアングルが大学生活4年間(4シーズン)、続くのだ。

しかし、このドラマが面白いのは、単なる三角関係の恋愛ドラマに終始してしまうのでなく(まぁ、それだけじゃ4年ももたないですな)、普通の大学生に共通する悩みや、登場人物のバラエティに富んだバックグラウンドを通して、さりげなく現代のアメリカが抱えている問題にまでテーマを深めているところ。また、脇を固めるサブキャラクターたちが個性派ぞろいで魅力的なのだ。たとえば、一攫千金を求めて売れない発明品ばかり作っているショーン(グレッグ・グルンバーグ)や、フェリシティの最初のルームメイトで謎の箱を部屋に置くゴス姉ちゃん(アマンダ・フォアマン)、フェリシティとベンがバイトするカフェの店長ハビアー(イアン・ゴメス)は、おばちゃんキャラのゲイといった多彩な顔ぶれ。

ドラマチックな展開には事欠かず、脚本も非常によく練られたリアリティさのある大学青春ドラマなのだがしかし、個人的に一点だけ腑に落ちないところがある。ストーリーの軸となるラブ・トライアングルで、フェリシティの気持ちはベンに向かっている時間の方が圧倒的に多いのだが、ドラマの中での描かれ方は、どうもベンよりもノエルの方が「いい男」なのだ。これはドラマを見た皆さんの意見もぜひきいてみたいところ。念のためにいうと、ここで俳優さんたちのルックスの話をしているのではない。ルックスでいえば、ベン役のスコット・スピードマンの方が好み(アゴは割れてるけど)。
簡単にいうと、ノエルは知的で話題も豊富でユーモアのセンスがあり、ときには間違いもおこすが精神的に大人の男。フェシリティも安心して頼れる感じだ。対するベンは、爽やかなスポーツマンタイプで行動力があるが、直情型で精神的に未熟なところもある。
どちらかといえば体育会系のベンよりも、アーティスト指向で文科系女子のフェリシティには、アップルコンピュータに精通していて、グラフィックデザインの得意な同じく文科系のノエルとの方がマッチするように思えるし、ノエルと一緒のときの方が、フェリシティが楽しそうにしている気がするのだが、いかがなものか? 恋は盲目だからなのか? それとも、大きなお世話?

実際、プライベートでも恋のケミストリーは働いたようで、ケリー・ラッセルとスコット・スピードマンは撮影当時の一時期、付き合っていたらしい。ノエル役のスコット・フォーリー(余談だが、父親の仕事の関係で東京に4年半住んでいたこともあり、日本語がペラペラだとか)は当初、ベン役のオーディションを受けて合格していたが、ノエル役の俳優が見つからなかったため、ノエルを演じることになったという。もしフォーリー(ノエルのガールフレンド、ハナ役で数回登場したジェニファー・ガーナーと2000年に結婚して2003年に離婚)が当初の予定通り、ベンを演じていたら、ケリーとこっちのスコットが付き合うこともあったのだろうか?

ゴシップはさておき、そんな分の悪いベンの面目躍如たるエピソードが、最後の最後にある。ネタバレごめんなさいだが、フェリシティがタイムスリップをしてしまう荒技が飛び出し、これはSFアクションの得意なクリエイター、J.J.エイブラムス的な遊び心かと思いきや、それだけではなかった。彼のインタビューによれば、ドラマはフェリシティたちが、大学を卒業するエピソードで終わるはずだったが、ネットワーク(当時はWB、現在はCW)から、あと5話増やしてくれという要請があり、捻りだしたのが18話から22話までのエピソードになったのだという。そしてベンは未来から来た(!)フェリシティのために大活躍…。ベンは、ネットワークに救われた!?

ドラマがスタートした1998年当時、アメリカは好景気のまっただ中で、ITバブルによってミリオネアになった若い企業家たちが注目を浴び、いわゆるドットコム・ビジネスの黎明・成熟期だった。ドラマにもそんな時代の気分が少なからず反映されている。この10年のうちにアメリカをとりまく世界状況も時代の気分も変わった。ただ変わらないのは、『フェリシティの青春』を超える、あるいは匹敵するクオリティの青春ドラマはまだ出てきていないということだ。

ライタープロフィール

ほりうちあつこ

ほりうちあつこ
ニューヨーク在住のフォトグラファー/ライター。渡米してアメリカのTVドラマのクオリティの高さに驚き、気がつけば10年。ドラマとシットコムは、自分にとってエンタテイメントであると同時に強力な英語のチューターでもある。お気に入りは『シックス・フィート・アンダー』。

« 2008年度エミー賞 ドラマ・シリーズの主演女優/男優賞を制すのは!? | トップページ | 『90210』『Fringe』…08年、秋の新ドラマがいよいよスタート! »

タイムマシンde海外ドラマ」カテゴリの記事

コメント

久しぶりにフェリシティの青春が見たくなり、YouTubeやネットを探して見てました。WOWOWで見てたのは、途中までだったので、最後が分かってスッキリしました。書いてた通り、フェリシティの青春以降ぃぃ恋愛ドラマないですね。そろそろ見たいものです。29JUNE2009

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『フェリシティの青春』:

» ハワイ5-0 [アメリカテレビ映画・テレビドラマ ふぉーえばー]
ハワイ5-0は、元海兵隊所属、朝鮮戦争の参加経験のあるスティーブ・マクギャレットと4人の部下からなる、ハワイ州知事直属の特別捜査班 [続きを読む]

« 2008年度エミー賞 ドラマ・シリーズの主演女優/男優賞を制すのは!? | トップページ | 『90210』『Fringe』…08年、秋の新ドラマがいよいよスタート! »

DVDリスト

  • 『24 -TWENTY FOUR- ファイナル・シーズン』
  • 『フレンズ<ファースト・シーズン>』
  • 『プリズン・ブレイク シーズン1』
  • 『BONES -骨は語る- シ-ズン3』
  • 『Dr. HOUSE/ドクター・ハウス シーズン4』