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2008.09.08

『ファミリー・タイズ』

まさに「アットホーム」!
懐かしくも新しい癒し系シット・コム

マイケル・J・フォックスの全米本格デビュー作にして、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に抜擢されるきっかけにもなった『ファミリー・タイズ』。1982年から1989年まで続いた、80年代アメリカのホームドラマを代表するほのぼの系シット・コムだ。

舞台はアメリカのオハイオ州。その小さな町で穏やかに、でも楽しく暮らすキートン一家の日々を描いたホームコメディ地方テレビ局に勤めるパパのスティーブン・キートン(マイケル・グロス)と、建築家として活躍中のママのエリス(メレディス・バクスター=バーニー)。そして高校生で長男のアレックス(マイケル・J・フォックス)と長女のマロリー(ジャスティン・ベイトマン)、末っ子のジェニファー(ティナ・ヨザース)の3人の子どもたち。その後、第3シーズンには年の離れた次男のアンディ(ブライアン・ボンソール)が生まれて一家6人の大家族に。ちなみに、『ファミリー・タイズ』放送開始時、この物語はパパとママの2人を主人公にして始まったらしいのだけど、いざフタを開いてみると新人として参加したマイケルの人気が急上昇! いつしか物語の中心はマイケル演ずるアレックスに移行し、マイケルが話題の中心に立ちつつもパパとママが優しくフォローするというスタイルを確立させる。確かに、マイケルの笑いを掴むタイミングの妙などコメディセンスは抜群で、彼の人気も当然といえば当然。というわけで、マイケルの新人らしい荒削りなセンスやフレッシュで勢いのある演技を堪能できるのは『ファミリー・タイズ』だけの特典!

物語は、超個性的でやんちゃ盛りな子どもたちが繰り広げる兄妹げんかや、思春期にありがちな両親への反発など、日々の暮らしのちょっとした出来事が中心。そうした世界中のあらゆる家庭で日々繰り返されている出来事も、キートン家とその仲間たちが直面するとなぜか面白く笑える出来事になってしまうから不思議。『ファミリー・タイズ』が全米でこれほどまでの人気を集めたのは、彼らのユーモアや風刺が飛び出す会話も確かにあるけど、実は登場人物らのユニークな性格設定に秘訣があるという指摘もちらほら。そこで、キートン家が抱える問題児(?)らのキャラクターを徹底的に分析してみよう。

先ず紹介するのは、長男のアレックス。我らがマイケル演じるアレックスは、子どもの頃からお金が全てと信じて疑わない、ヤッピー的生活を目論む野心家。バリバリのタカ派で若き共和党予備軍。夢は立身出世という超即物的な現代っ子だけど、情が絡むと損得勘定も甘くなるところが憎めないかも。そんな彼の二面性は、友人として付き合うには面白いけれども恋人としてはかなりうざいこと間違いなし!
んで、長女のマロリーだけど、彼女の人生の目標はずばり、男の子にちやほやされること。それ以上でもそれ以下でもない踏ん切りの良さが彼女の長所(?)で、ファッションと髪型が決まれば人生バラ色という突き抜けちゃった脳天気ちゃん。見た目が全てというマロリー哲学は拝金主義のアレックスと重なる部分があるのか、ドラマの中でも二人が共感したり結託することも度々。そんな二人だけど、流行を追い続けるマロリーの姿がアレックスには移り気に映り、お金にこだわるアレックスの姿がマロリーには堅物優等生に見えるなど、最後の最後で分かり合えないのはお約束。
うぬぼれ屋の兄とファッション狂のとばっちりが集まるのが宿命の末っ子にして次女のジェニファー。こういう細かなお約束を忘れないところが『ファミリー・タイズ』が面白いところ。ともあれ、ヘンテコな兄姉に感化されたのか(あるいは彼らを反面教師にしたからか?)、斜に構えた皮肉屋さんになってしまいましたとさ。それでも兄妹の中では一番まともで、ある意味キートン家の良心というのが彼女の微妙な立ち位置を示しているかも。もっとも、3人の中で一番常識的な発言をするけど、家族みんながそれぞれにユニークなので結局彼女の発言は無視されちゃうんですけどね。あはは。めげるなジェニファー!ってか。
シーズン途中で生まれたアンディはまだ赤ちゃんだけど、家族みんなの人気者。特にアレックスにとっては遅くにできた男兄弟ということもあり、なにかというと男同士を強調してマロリーとジェニファーに対抗しようとするところがカワイイ

そんな、やんちゃざかりな子どもらに負けてないのが彼らの両親、キートン夫妻。今でこそ郊外に家を構える典型的なアメリカ人のように見えるけど、実はこの2人は60年代をリベラルに過ごしたヒッピー族で、当時の日々を誇りに今を生きているというラブ&ピース世代なのだ。なにかといえば60年代を懐古して理想を語る両親に対し、戦争も知らずに80年代という現実で試行錯誤する子どもたち。この「理想」vs「現実」という代理戦争を両親と子どもたちで行うのだから面白くならないわけがない。しかも、彼らが交わす会話の多くは60年代と80年代のそれぞれのイデオロギーを鋭く風刺するなど、とにかく脚本が素晴らしいの一言。当時を振り返って笑える懐かしさはもちろん、21世紀を迎えた今でもリアルタイムで笑えるシーンも少なくないから驚きだ。世代のギャップや兄妹の意識の違いがもたらす笑いは世界共通ってことなのかも。

ここらで『ファミリー・タイズ』の基本データを抑えておこう。『ファミリー・タイズ』が本国アメリカで放映されたのは1982年から。1989年に終わるまで合計7シーズン製作され、年間視聴率は最高で32.7%を記録するほどの長寿番組だ。なお、マイケル・J・フォックスはこのドラマで3年連続エミー賞のコメディ部門主演男優賞を受賞し、全米トップクラスのアイドルスターとしての地位を確かなモノにする。また、マイケルがトレイシー・ポランと結婚することになったきっかけも『ファミリー・タイズ』での共演から。ちなみにその時のトレイシーの役柄はマイケルの恋人役! また、『フレンズ』でブレイクし、最近では『ダート』で主役を演じるなど大活躍するコートニー・コックスもマイケルの恋人役としてシリーズ後半に登場。ゲストもノア・ハサウェイ、トム・ハンクス、コリー・フェルドマン、リバー・フェニックスなど超豪華! 特にあどけなさが残るリバー・フェニックスはファンならずとも一見の価値あり!

脇役が面白いのも『ファミリー・タイズ』の見どころ。その筆頭がキートン家の隣人、スキッピー(マーク・プライス)。彼はマロリーの幼なじみで彼女にメロメロなんだけど、マロリーに言わせれば単なる友だち。そして、キートン一家にとってはお笑いキャラというひどい扱いだけど、全然めげないところがカワイイ。そのマロリーの恋人役として登場するのがニック(スコット・バレンタイン)。彼はいらないものを使って芸術にしてしまうというリサイクルアーティスト(?)で、かなりの愉快な変人。パパのスティーブンとしては、友人としては面白いヤツだけど娘の恋人には…、といった複雑な心境も抱えていて、その葛藤を見るのも楽しいよね。他にもアレックスの友だちやパパの職場の仲間など、ユニークな人物に事欠かない。常連の大部屋役者にも個性的な役者が多く、今回のちょい役は誰かな?って、ワクワクしながら見るのも楽しいかも。

また、80年代シット・コムを語る上で外せないのが吹き替え版。マイケルを担当するのはドラマファンにはおなじみの宮川一郎太。英語のジョークを日本語に置き換えるのはなかなかに難しいけど、そこはベテラン、英語版と変わらぬタイミングで笑いを届けてくれるのもさすが。また、マロリー役の堀江美都子との掛け合いも絶妙で、吹き替えならではの会話を楽しんじゃおう! 使っている英語もわかりやすいから、英語版と吹き替え版を聞き比べてみるのも一興。

 

ファミリー・タイズ 赤ちゃんにジェラシー編 DVD-BOX
【価格】¥10,290(税込)
【収録内容】4枚組
【発売元】パラマウント・ジャパン

ライタープロフィール

ドラマナビ編集部

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