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2008.09.15

2008年度エミー賞 ドラマ・シリーズの主演女優/男優賞を制すのは!?

知名度、実力など、あらゆる意味でドングリの背比べの極めつけで、接戦が予想される2008年度エミー賞のドラマ・シリーズの主演女優賞。このカテゴリー3度目のノミネーションの吉報に「中年を過ぎたら役がもらえないというのは昔話。年輪を重ねると芝居に深みが出るから、20歳の娘は太刀打ちできないって視聴者が認めてくれたことが何よりうれしいわ」とベテランらしいコメントをしたキーラ・セジウィック。セジウィックの指摘通り、候補に残ったのは45歳以上のベテラン女優ばかり。サリー・フィールド(『ブラザーズ&シスターズ』のノラ・ウォーカー役)、グレン・クローズ(『ダメージ』のパティー・ヒューズ役)、ホリー・ハンター(『セービング・グレイス』のグレイス・ハナダーコ役)、キーラ・セジウィック(『クローザー』のブレンダ・ジョンソン役)とマリスカ・ハージティ(『LAW & ORDER:性犯罪特捜班』のオリビア・ベンソン役)と全て日本で放送していて演技を観られる点でも面白い。

エミー賞は人気投票ではなく、同業者が昨年の功績を讃える賞だ。俳優に贈られる賞は、ATAS会員で俳優グループに所属する同業者しか投票できない。私は役者の立場からテレビ番組を評価したことがないので、ドングリの背比べの場合、ことさら予想がつかない。知名度からいえば、フィールド、クローズ、ハンターの3人が、人気投票(一次選考)で得点が高かったに違いないが、この女優でなければこの役は成り立たないという観点から評価すると、クローズかセジウィックが最も評価されると推測する。クローズは二次選考に『ダメージ』のパイロット版を提出しており、『第60回エミー賞候補作品に思うこと』でも述べたが、二次選考ではパイロット版が優劣をつけやすいので、ここでも評価が高いだろう。演技の迫力は、ドングリの背比べだが、犯罪捜査モノの女刑事は過去20年に4回しか受賞していない点を考えると、泣く子も黙る恐~い役が十八番のグレン・クローズと予想する。一方、セジウィックが演じる私的には欠陥だらけの「デキル女」の方が親近感が湧くキャラクターだから優勢という意見もある。

主演男優賞はどうだろう?
今年は日本で放送中の番組からはヒュー・ローリー(『Dr. HOUSE』のグレゴリー・ハウス役)、ジェームズ・スペイダー(『ボストン・リーガル』のアラン・ショア役)、マイケル・C・ホール(『デクスター~警察官は殺人鬼』のデクスター・モーガン役)の3人。ジョン・ハム(『Mad Men』のドン・ドレイパー役)、ブライアン・クランストン(『Breaking Bad』のウォルト・ホワイト役)と、ガブリエル・バーン(『In Treatment』のポール役)は日本未放送で、米国でも視聴率、知名度共に低い番組から3人。打率10割、候補に挙ると必ず賞をさらって行くスペイダーが、今年も本人の当惑と裏腹に(?)残っている。『ボストン・リーガル』のクリエイター、ご存知デビッド・E・ケリーの名台詞のおかげだと言う人が多いが、『Dr. House』での今年のローリーの演技は脚本の面白さと相まって目を見張るものがあった。二次選考会に提出されたシーズン最終話『House's Head』は、紛れもなく今シーズン最高の迫真の演技だったので、ローリーと予想する。『Mad Men』で一躍スターの座に躍り出たハムは昔から気になる俳優で、やっと日の目を見たので、エミーを獲得して欲しいと思う。しかし、『The Wheel』とよばれるシーズン1の最終話が、『Dr. House』に比べて地味なこと、『Mad Men』自体の知名度が低いことが災いするに違いない。殺人鬼ホール、麻薬売人クランストン、精神分析医バーンは一次選考票で上位に挙っていたとしても、二次選考でどう評価を受けるか?同業者の目にどう映るかが鍵だろう。ただし、クランストンの『Breaking Bad』は二次選考でパイロット版を提出しており、癌と診断された元化学教師が自ら麻薬を作るという正義から悪への180度転換を、同業者が功績と評価する可能性もあるから、意外と穴馬かもしれない。

会員の俳優たちが誰の功績をエミー賞授賞に値すると審査するのか、興味津々である。得点まで公表してくれるともっと面白いのだが…。ますます叩かれる材料になるから、ATASのためにはならないかもしれないが。
実は、昨年の作品賞二次選考体験で、番組のパイロット版はわかりやすいので有利だと気づいた。今回の作品賞についても、二次選考に『ダメージ』と『Mad Men』がいずれもパイロットを提出したので有利だと述べたが、作品賞と主演俳優賞では選考方法も委員も違う。俳優が選ぶ場合、パイロット版提出に意味があるのだろうか? 私の「パイロット有利仮説」は、果たして俳優賞にも適用できるかどうか?が楽しみである。

ライタープロフィール

Meg Mimura

Meg Mimura
Television Critics Association (TCA)プレスツアーに会員として参加する唯一の日本人。ATAS会員。心の糸に触れた作品、目からウロコを体験させてくれる放送作家、元気をくれる俳優等を紹介するのが生き甲斐のテレビ評論家。テレビのメッカでテレビへの熱い想いと畏敬の念を燃やし、「わくわく、いきいき、にこにこ」と生きています。最新のモットー「Leap! And the net will appear.」は『名探偵モンク』から学びました。

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