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2008.08.18

選考に参加して…内側から見たエミー賞!

7月17日、米国テレビ科学技術アカデミー(Academy of Television Arts & Sciences、以下略してATAS)本部で第60回エミー賞12部門の最終候補発表会に参加した。誰がいかに投票して授賞式の発表に至るかは、ほとんど謎に包まれていたが、受賞チャンスが1回きりのアカデミー賞と異なり、エミー賞は受賞や候補に挙がる作品、俳優が毎年偏ったため、「何やってるんだ?」とマスコミや世間から叩かれっぱなしだった。そんな批判に応えるべく、ATASは2006年にブルー・リボン・パネル(二次選考会)を加えて新風を吹き込もうと試みた。しかし、1万4千人足らずの会員が作品タイトル一覧表から10本を選ぶ人気投票(一次選考)を会員から選ばれた200~300人のブルー・リボン・パネルが覆す結果になり、喧々囂々の非難を浴びた。そこで2007年には、人気投票の結果50%+ブルー・リボン・パネルの得点50%で、最終候補作品/俳優に絞って、最終審査に進むこととなった。他にも、選考方法を微調整したが、詳細はここでは省くことにする。
基本的には、作品賞を除いて、いずれのカテゴリーも同業者(俳優は俳優、監督は監督、編集は編集など)が過去1年の功績を讃える賞だと理解していただければよい。

私がLAに来て、真っ先に手をつけたのがATASの会員になるための下調べだった。会員応募者の関わったテレビ番組が全国放送年間何時間以上等の規定を読んで、「不可能!」と思ったが2年がかりで入会することができた。テレビ業界で働いている限り、エミー賞の投票に参加するのは昔から夢だった。しかし、入会してから気が付いたのだが、私は俳優ではないので、逆立ちしても俳優グループの選考には参加できないということだった。従って、人気投票と同業者グループに加えて、ブルー・リボン・パネルにも参加できるとお知らせが来た07年、嬉々として参加したのだが…荘厳な気持ちでドラマ、コメディー部門の作品の審査をしたのは私だけ?と思うような体験だった。
ドラマとコメディーで丸2日間、ATASの会議室に缶詰になり、各10本を観て1~10位に並べた用紙を提出した。私にとっては歴史の一部に参加したような貴重な体験だったが、ATAS会員といえどもテレビを観ていない、パネラーは年配の俳優が圧倒的に多い、秘密厳守の規則を守らない会員がいることなどが判明した。
今だから明かすが、『LOST』を観たことがないパネラーが多く、シーズン3のフィナーレを観たものの、チンプンカンプン。今シーズン『デスパレートな妻たち』に出演していた、ここ10年ほど鳴かず飛ばずの女優は、「ケーブルしか観ない」と公言し、『LOST』の語り口を私が説明する羽目になってしまった。投票結果や作品に対する個人的な意見の交換は禁じられていたが、ストーリーの展開方法を説明するのは問題ないと思ったからだ。
さらに、二次選考会では作品を評価するのではなく、審査当日に観せられた逸話のみを評価し、1~10位に並べるのも意外であった。20数話の中からどれを提出するかは、プロデューサーの腕にかかっている訳で、シリーズとしては秀作なのに、提出された逸話に疑問を抱く作品も多々あった。
極秘裏に行われた二次選考会を後にする際も、他言無用と釘をさされたにも関わらず、作品名から逸話タイトルまでが翌日ネットを飛び交ったことにも失望した。テレビへの熱い想いを感じない。この調子で主演、助演俳優も選んでいるのだろうか? 『オズの魔法使い』ではないが、魔法使いの正体見たり!という感じである。

昨年、厳禁したにも関わらず情報が漏れたため、今年は二次選考会開催前日にATASが作品賞、主演、助演俳優賞の評価対象となる10本/人を公表した。従って、6月末から7月中旬まで、どの作品や俳優が最終候補に残るか十人十色の予想が飛び交った。日頃、贔屓にしている番組や俳優が最終候補に残るよう応援したり宣伝したりは人情というもの
6週間ほど入れ込んだ揚句の果て、「どうしてこの人が残って、あの人は駄目だったの?」と遺憾な結果にがっくり! 逆に何も知らずに最終候補者5人の発表を聞いた方が、素直に受け入れられた気がする。情報過多はストレスの源、来年からは「知らぬが仏」に戻りたいものだ。

ライタープロフィール

Meg Mimura

Meg Mimura
Television Critics Association (TCA)プレスツアーに会員として参加する唯一の日本人。ATAS会員。心の糸に触れた作品、目からウロコを体験させてくれる放送作家、元気をくれる俳優等を紹介するのが生き甲斐のテレビ評論家。テレビのメッカでテレビへの熱い想いと畏敬の念を燃やし、「わくわく、いきいき、にこにこ」と生きています。最新のモットー「Leap! And the net will appear.」は『名探偵モンク』から学びました。

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