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2008.03.31

アメリカンドラマ、チャイルドスターの悲劇!?

アメリカでは、ここのところ元チャイルドスターの乱れっぷりが取り沙汰されている。チャイルドスターの宝庫だった、ミッキークラブの卒業生や、赤ん坊の時から活躍していたリンジー等、彼らのスキャンダルがゴシップ紙の一面を飾らない週はない。
アメリカも日本も、一般ピープルはその手のニュースに眉をひそめる。
「子ども達のロールモデル(お手本役)のチャイルドスターが、リハビリへ行くなんて!」
「あの、優等生役だった子が、飲酒運転で事故を起こすなんて!」
と結構世間の皆さんは、厳しく批判する。

が、はっきり言って、この反応に納得できない

昔の世間は役者に対して優しかった。全ての悪事を芸の肥やし、と丸く包んで許してくれた。それがいつのまに、役者が善良市民の代表にならなければいけないご時世になってしまった。
役者は神父さまでも、お坊さんでも、学校の校長でも、おまわりさんでもない。はっきり言って、まっとうな気質の市民は、役者なんていう、やくざな仕事につくはずはない(と思う)。話題を集め、世間の注目を得るのが彼らの仕事。 スキャンダルをメデイアに提供して、 褒められることはあっても、怒られる筋合いはない!

というか、演技の本質とは、まことしやかに嘘をつくことだ。嘘、というとイメージが悪いが、悲しくもないのに泣いたり、嬉しくもないの笑い、うまく 周りを欺けば、才能がある!と褒められる。そんな仕事ではないか?
乱暴な言い方だが、そういう仕事を子ども時代から生業にしてしまうと、多少というか、大幅に価値観が歪むことがあっても仕方がないではないか。
もちろん、全ての元チャイルドスターが、不良になったり、スキャンダルを起こすわけではないし、中には、一般人として、お天道様の下堂々と歩いている人もいる。
では、不良になる元スターと、まっとうな道を歩む元スターの違いはどこにあるか?

もちろん運、本人の資質等の違いもあるだろう。が、タイラ・バンクスの言う通り、誘惑が取り巻き、競争の激しい芸能界では、親の資質が子どもの成功の鍵を握るのだと思う。

日本の歌に、“子どもは戦う。大人よりももっと激しく。”という歌詞がある。それを耳にした時に、チャイルドスターの生活を思った。
アメリカの俳優は、3つのクラスに分けられ、取引される。A級スターはいわゆるドル箱スターのこと。 彼らの名前だけで、興行収入や、視聴率を獲得可能な俳優。B級スターは、一般に名前が知られているけれど、主役に起用して興行収入を稼げるだけの実績のない俳優。 そして、後は級の付かない、その他もろもろの俳優。実力のあるエージェントは、A級B級の俳優しかプロモートしない。そして、その2つの級に入るには、チャイルドアクター(子役)として、10代のうちにそこそこに売れるのが必須条件となっている。

けれどアメリカは日本と違い、俳優養成所や、児童劇団などない。組織のバックアップはゼロ。マネージャーさんなどいない。だから売れる前は、全てが親の打ち込み方にかかってくる。気合いの入ったステージママ(パパも含めて)は、自分の生活をストップして、赤ん坊の頃から子どもをオーディションから撮影所、お稽古場からゴーシー(キャステイングやプロデューサーへの顔見せ)へと引き回す。自ずから、親と子どもは密着し、親の影響力が強くなる。

昔、インタビューをしたことがあるL。往年のスターTを父に持ち、子どもモデルから女優に転向して成功した。インタビュー中、マネージャーをしている彼女のママがぴったり横に付き、厳しくチェックを入れる。文字通り、猛烈ステージママだった。仕事が終わると、プロデューサーが小声でささやいた。
「あの母親、元女優志願だったけど。単なるTのグルーピーで、DNA判定が可能になった途端、Tに対して養育費裁判を起こして勝ったのよ。それでTの娘ってことでデビューさせるように交渉したみたいよ。それまでは、Lも実の父親が誰だか知らなかったみたいだし。Lの養父もびっくりしたみたいよ。Tの家族もスキャンダルになるかもって、あわてたみたいで、仕方なく仕事上は父娘って振る舞っているけど、プライベートではLに冷たいものよ。でも、あの母親、そこまでして、自分の娘を売り込むのもどういうもんかしら。」
自分にも娘がいる彼女はにがにがしい表情になった。
その後、Lは母に反抗して裁判沙汰になり、大手のエージェンシーに移ったけれど、あまりテレビで話題にされなくなった。そんなある日、グリニッチビレッジの道ばたで、Lとばったり再会した。トレードマークだった髪を切り、赤ん坊と売れないミュージシャンの夫と連れ立って。「あたし達、田舎に家を買って暮らしているの。シティーは子どもに環境悪いし、あたし、ああいうの、向いてないから。」と静かに微笑んだ。

が、Lのように、強烈ステージママと決別して、それなりの小さな幸せをつかむ元チャイルドスターは少ない
昔のディレクターのパーティーでばったりと再会した元チャイルドスターMは、両親が自分のギャラをくすねていたこと、彼らを告訴していること、父親はアル中で、よくアビューズ(虐待)されていたことをにがにがしく語る。 子どもの頃のふっくらとした面影はどこにもない。
親がチャイルドスターのギャラを盗むのは今に始まったことではない。子役の権利を守るために、1939年にカリフォルニア州でクーガン法ができたのだが、それでも法律の編み目をくぐって、ギャラを盗む親は後を絶たない。
「子どものギャラを使って何が悪い? あたしの人生を犠牲にして、あの子を売り込んだから、今のあの子があるのよ。あたしが彼女を作ったも同然よ!」
強烈ママを代表したような抗議をした、元歌手のステージママ。犠牲。確かに多くの犠牲をしてきたのは認めるが、赤ん坊が女優になりたいとママに頼んだわけではあるまい?とすると、あのママ達の強烈なエネルギーの源とは

とあるビデオの撮影時。共演した5歳のDは、めずらしくシャイな子役だった。そして、そのシャイなDをいらいらして睨みつけているのは 、リンジーのママと同じ、元ラジオシティー・ミュージックホール(ロックフェラーセンター内にある世界最大といわれるホール)のラケット(リンジーママはダンサーだったといっているが、経歴詐称のウワサもあり)だった、ステージママ。彼の役は、事故に遭った母を病院に訪ねる息子の役。 さっきからDは、台詞を一言も発しない。もうすでに、8テイクしている。ADがいらいらして「5分休憩」と。その途端、Dの母は、彼に走りよる。「あんた、何回も言ったでしょう! ちゃんと想像するのよ! ママが交通時を起こして、死にそうなの。さあ想像して! 死にそうなの。ママが死ぬのよ。あんたはその時何て言うの?」

そりゃDも怖いだろう。5歳の子に、ママが死ぬというのは、残酷だ。Dが引きつってしまうのもわかる。スタッフも途端に同情してDを見つめる。Dは助けを求めるかのごとく、スタッフに視線を向ける。が、誰も一言も発しない。ヒステリーなステージママに意見をするのは、お腹のすいたライオンに腕をさしだすようなものだから。周りの空気にますます怒り、ママがDの肩を強く揺らす。
「あんた、台詞を言わないの? 言わないって言うのね。じゃあいいわよ。もう二度と撮影に連れて行ってあげないから。もう2度とオーディションも連れて行かないわ。いいのね? 2度とテレビに出られないのよ? いいのね!?」
そのときはじめて、Dが口を開いた。
「うん。僕はテレビに出なくてもいいよ。ママが出たいんでしょ?

子どもは本質を突く。チャイルドアクターのほとんどが、始めから演技をしたくてしているわけではない。それどころか、自分が親の破れた夢を実現するために、利用されている。それでも、親のためにがんばって、結果的にA級スターに成長する子もいる。中には演技を捨て、小さな幸せを見つける子もいる。でも、中には、忘れ去られて、早送りした子ども時代を取り戻そうとして、気違いじみた騒ぎを起こす子もいる。

だけど、まあ、この際、少し、 大目にやってもいいんじゃない。 もしかして、芸の肥やしになるかもしれないし。ちょっとの間、目をつぶって、彼らに子ども時代を取り戻させてあげてもいいじゃない。人の成長って、色々あるんだから。

ライタープロフィール

大塚肇子

大塚肇子
ハワイのプロダクションにて、企業向けビデオ、コマーシャル、テレビ番組、映画の制作、またライターとしても番組のスクリプトを含め、ビジネス分野からNYライフスタイル紹介といった、日本のメデイア向けの番組制作にかかわる。女優としても、“ピクチャーブライド“をはじめ、アメリカネットワークドラマ、映画、インデペンデント映画に出演。ニューヨークでは、オフブロードウエイの舞台から、フジテレビなど日本のテレビに出演。現在、NY 在住。

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日本人がアメリカで俳優になるのって難しいですか?

教えてください。

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