イギリス発フレンズ!? 『カップリング』
アメリカとイギリスは両方「英語」の国で、それなりにある程度のポップカルチャーコンテンツが「アメリカ発」、「イギリス発」のものが両方混在している状況もあるにはあるのですが、意外にマーケットは違うもので、大西洋を挟んで片方で非常にヒットした作品ももう片方ではうまくいかないという例も多くあります。
その中の一つで、「イギリス発」のものを今回は紹介したいと思います。BBC2で2000-2004年にかけて4シーズンに渡って放送されていた『カップリング』という作品はイギリスではなかなかのヒットでしたが、アメリカではBBC Americaで放映されたり、アメリカ版リメークもNBCで放映されたにもかかわらず、アメリカでは「知る人ぞ知る」という感じの作品です。
『フレンズ』を『サインフェルド』で味付けして、重要なダシには『セックス・アンド・ザ・シティ』のあっけらかんとした性描写を使ってみました!という感じで、このコメディーが醸し出す味のハーモニーは絶妙なものがあります。加えて、ヨーロッパ発ということでエッチ系のお笑い表現がもうちょっとスパイスの効いたものになっており、これがアメリカのものとちょっと違う「外国」の風味を出していてなかなかの秀作だと思っています。
番組のネタバレしない範囲でもう少し説明してみます。
『フレンズ』のように男女3人ずつの若い6人が主な登場人物で、彼らの生活テリトリーで繰り広げられるドタバタについてカル~イリズムで物語が繰り広げられます。そんな中、巧みに組み込んである「お笑いの伏線」が『サインフェルド』のようにグイグイと生きてきて、連続技のお笑いが展開するのです。その重要なバックボーンとしてのテーマは男女の関係の中では避けて通れない「スケベ心」が『セックス・アンド・ザ・シティ』のようにかなり正直にストレートに表現されているわけです。どうでしょうか?見てみたくなりましたか?
アメリカではBBC Americaのオリジナル版放映はニッチながら「外国」番組のファン層をがっちりつかんだようですが、NBCで放映されたアメリカ版リメークは脚本自体はなるべくオリジナルに忠実につくられたようですが、その良さを俳優の演技や演出で引き出せなく「もったいない」作品で終わってしまいました。加えて一般アメリカ人にはちょっとキワド過ぎたようで視聴率も伸びず最初のシーズンの途中で打ち切りになってしまいました。
日本では紹介されてないの?と思って調べたら、なんとオリジナルイギリス版がネットで見られるようになってるんですね。アメリカからは見られないので、日本語でどのようになっているのか(字幕なのか吹き替えなのか、そしてどうやってあのキワドさや番組オリジナルな言葉使いを訳しているのかなど)わからないのですが、非常に興味がありますね。
個人的にはこの作品がもっとアメリカでメジャーになってないのがちょっと残念です。アメリカ版の“でき”が悪かったというのはわかりますが、それでもオリジナル版についてはもっと人気があってもいいのになあと思います。
例えばDVDやダウンロードで静かなブームだとかそういう話があってもいいと思うのですが、、、「アメリカってそんなにコンサバなのかな???」と思ってしまいます。
確かにこの作品はほぼ全面的にエッチ系のお笑いの連続ですが、「あまりにも下品」というほどではないように思います。ファミリー向けではないかもしれませんが、男性も女性も一緒に楽しんで見れるようなラインだと思います。『オースティン・パワーズ』クラスのお笑いがお好きな方々なら楽しめるでしょう!
ライタープロフィール

森井茂樹
「入魂のリサーチ」を信条とするエンターテインメント、メディアビジネスのリサーチャー。仕事としてテレビ、ラジオ、映画、マンガ、インターネットなど多くの分野をカバーしているが、プライベートでも各国の様々な作品に次々と挑戦している。ポップカルチャー、運動、サウナ、自然、そしておいしい食べ物があれば世界平和が実現すると信じている。日本、中東、ヨーロッパを経験し、現在ニューヨーク在住。
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