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2007.07.02

アメリカドラマ、放映までのサバイバルレース!

ドラマにハマるのはなんで?

「ヤベー、次も見逃せない」と思わせるアメリカのテレビドラマって多いですよね。「ハマってしまった」時の濃厚な体験はモノスゴイものがあるような気がします。次々と取り憑かれたようにDVDや録画貯めしておいたテレビドラマを見るときは「イカン!」と思いながらも「次へ!」衝動を抑えきれないものがあります。24時間耐久レースのように1シーズンを一気に観てしまう週末もあったりして。これって食事やトイレ以外はドップリそのテレビドラマの世界に浸っていて、夢にまでテーマ曲が流れるような経験というのは私だけではないでしょう。こんなディープなエンタメ体験は、なかなかないのでは?

この「ハマる」魅力の要因としては、やはり「生存競争」がとても大きなキーワードだと思います。テレビというメディアの特性としてリモコンのボタンを押すだけでいとも簡単にチャンネルを変えられてしまうので、スタートから結構トバしたペースでストーリーが展開します。さらにコマーシャルの後も、次週の放映も観たいと思わせるために、それぞれの節目に向けて「ヤベー」がくるように「視聴者の注意を大いに引くもの」を要所に散りばめてあります。

視聴者の容赦ない「チャンネル変更」に常にさらされているだけでなく、視聴率が思わしくないとテレビ局はかなり冷徹に番組をキャンセルするので、番組の競争はかなり激しいものがあります。そんな中に作品を送り出すわけですから、オンエアが決まるまでの生存競争も当然過酷なわけです。

今回はテレビドラマの魅力を生み出す大きな要因となっている「生存競争」の中でも、オンエア前の過程についてフォーカスしてみようと思います。
 

パイロット制作にいきつけるか!

まずは、企画ですね。そしてこれまでにパイロットをテレビ放映にまで持っていった実績のあるプロデューサーがアイデアに乗ってくれることが重要になります。この段階で脚本ができていることもありますが、テレビネットワークへの売り込みで最大のインパクトが持てるようにプロデューサーと練り直すことが通常のようです。

テレビネットワークは、数多く持ち込まれる企画の中から権利を獲得しておきたい脚本を買います。しかし、脚本が売れたからといって、これで「ヤッタア!」ではないのです。買われた脚本の中で、パイロットになるのはほんの一握り。パイロットになるまで、そしてそれ以後もネットワークからいろいろな脚本の書き直しの意見がだされ、キャスティングなども決まってきます。話題になるキャスティングはパイロットの評判と放映後の視聴率を左右すると思われているため、大変重要なのです。

ドラマの全体像を把握するための「お試しバージョン」として制作されるパイロットは、そのまま「第1話」として、または「テレビムービー」として放送できるような完成度の高いものから、とにかく番組がビジュアルとしてわかるようにラフに制作されているものまでと、いろいろあるようですが、テレビネットワークが企画を選択し、パイロット制作が決まるとそれなりの予算があるので、結構本格的なキャスティング、セットなどで撮影されることが多いようです。

できあがったパイロットは、さらにふるいにかけられます。各テレビ局のドラマ枠は狭き門です。更新された人気ドラマがあればあるほど、少ないからです。かなり本格的に制作されたパイロットでも、いわゆる「デッドパイロット」といわれる一般視聴者には目に触れることのない作品は多いのです。ボツになったパイロットの中で、他のネットワークが放映することもあるにはありますが、やはり珍しいケースのようです。どうも権利を一度獲得した企画は保持しておきたいようで、ほとんどが「御蔵入り」となります。もったいないですよね。

ちなみに珍しいケースとして、『Scrubs』はNBCで放映、権利の方はABC Studios (元Touchstone Television)という例があります。ABCが自社系列のプロダクションスタジオでパイロットまで作ったのに放映をパスしたのをNBCが拾ったというわけです。その後なかなかのヒット作品になるわけですから「敗者復活」のようなケースといえるのではないでしょうか。

CSI:6 科学捜査班
CSI:6 科学捜査班

パイロットを拾われたわけではありませんが、現在もヒット作品として君臨し続けているCBSの『CSI』も実は企画の売り込み段階でABCが「一般視聴者には複雑過ぎる」としてパスしたものをCBSが拾ったものだそうです。
 

生き残ったとしても、、、

パイロットシーズンを晴れて生き残った作品は、これでついにテレビデビューとなるのが通常です。「通常です」というのは、せっかく生き残ったのに結局最後はオンエアをキャンセルされたわずかな例外もあるようなのです。調べてみると、最近の例では『Misconceptions』というWB(現在はUPNと合併してCWというネットワーク)の2005~2006年シーズンに放送が決まっていたものが、6エピソードも撮影終了しているのに、結局一度も放送されなかったそうです。このドラマには、『そりゃないぜ!?フレイジャー』でダフネ役だったジェーン・リーブスがシングルマザーの役で主演。内容はというと、誕生日に娘が父親に会いたいと言いだしてドタバタ開始。なぜかというと、実は娘の父親に一度も会ったことがないから。というのも娘は精子バンクからカタログで「イイ男」を選んで受精した子どもだから、、、というお話だそうです。ちょっとこのドラマ観てみたいですよね。
このようにテレビに登場するまでに、ドラマはとても過酷なサバイバルレースを勝ち残らなくてはならないんですね。こうしたダーウイン的なメカニズムが、魅力的なテレビドラマを輩出するためには重要なのでしょう。
 

ライタープロフィール

森井 茂樹

森井茂樹
「入魂のリサーチ」を信条とするエンターテインメント、メディアビジネスのリサーチャー。仕事としてテレビ、ラジオ、映画、マンガ、インターネットなど多くの分野をカバーしているが、プライベートでも各国の様々な作品に次々と挑戦している。ポップカルチャー、運動、サウナ、自然、そしておいしい食べ物があれば世界平和が実現すると信じている。日本、中東、ヨーロッパを経験し、現在ニューヨーク在住。

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