『V ビジター』
人間と同じ姿をした友好的な宇宙人
でも、その真実の姿とは…
ドラマのはじまりは、エルサルバドルでのレジスタンス抗争シーンから。なぜ、レジスタンスなのか。これについては、のちのちこの物語の重要な核をなすことに気づかされるわけですが、そんなことが最初にわかるわけもなく、ただただそのエルサルバドル上空に現れた巨大UFOに気をとられてしまう。
そりゃそうでしょう、白い無機質な巨大UFOがいきなりエルサルバドルの山間を流れる川の上にぬぬぬうと登場するんですから。ここで一気に視聴者は引き込まれるというわけです。
その後、世界各地に巨大UFOたちは出現し、サンフランシスコのゴールデンブリッジの上やパリのエッフェル塔の上、などシュールなイメージが続いていきます。まだまだ宇宙人の登場までじらされていくわけです。
で、満を持して登場した宇宙人はといえば…。なーんだ、人間そっくりじゃあーりませんか。おまけに友好的。と拍子抜け。ただ、声だけは、のどをたたきながらしゃべってるようなベタな宇宙人声で、怪しさ満点だけど。
主人公は、エルサルバドルでレジスタンスの取材をしていたカメラマン、マイクとロサンゼルスの研究所で働いている生化学者の卵ジュリー。この2人をそれぞれ軸としたストーリーが同時進行していきます。
最初は、自分たちそっくりな宇宙人ビジター(訪問者)を歓迎、言うことをそのまま信じていた人間たちも、ビジターたちの不自然なところに気づきはじめます。が、時すでに遅し。ビジターは地球を掌握、人間たちは彼らのもと、抑圧された生活を送らざるをえなくなっています。
そんな中、各地で密かに起こる抵抗運動、そして今まで、別々に行動してきたマイクとジュリーがやっと1つのレジスタンス組織としてまとまります。「立ち上がれ! 地球人!!」 とモニターの前で思わずこぶしを…。でも、心とは裏腹についつい、ビジター側の強烈なキャラ・ダイアナに注目してしまうんだな。
当時はなぜか、悪役であるはずのダイアナに人気が集中していたんです。だってダイアナってば、かわいい小鳥やハツカネズミをまるごと××ちゃうんですもん。もちろん、ジュリーファン、マイクファンもいただろうけど、ダイアナの強烈キャラには太刀打ちできなかった模様。
こうして、人間とビジターとの戦いが繰り広げられる中でクローズアップされるのが、人間(ビジターも!?)の善の部分と悪の部分。ビジター側に協力しているはずの警官が逃げ出す家族を見逃すシーンなど、ついホロリ。人間ってまだまだいけるじゃんと思わせてくれます。
それに反比例しているのかどうかわからないけれど、ラブシーンの少ないこと少ないこと。ジュリーとマイクがくっつくまでに時間はかかるわ、恋愛ではなく実験と称してビジターと人間との子どもを産みだすわ。
ただ、その子どもが急成長するあたりは最近の『The 4400』に通じるところがあるような、ないような。そういえば萩尾望都巨匠の『イグアナの娘』という漫画もありました。
このドラマ、実はさまざまなシーンに散りばめられている名作映画へのオマージュ(というかパクリ?)がみどころでもあります。それに、ビジターたちを迎える音楽隊が演奏するのは『スター・ウォーズ』のテーマだったり、子どもたちが遊ぶテレビゲームはインベーダーゲームだったり、笑える場面もたくさん。
もうひとつ、『エルム街の悪夢』のフレディでブレイクしたロバート・イングランドが出演しているのも見逃せないとこ。それも、フレディとはうってかわって、人間にやさしいヒト(?)のいいビジターってのが役どころ。
1983年から放送された『V』はこのあと、『V2』へと続き、人気のあまりノベライズ化もされました。日本では幻のサンリオ文庫からでているあたり、そのマニアックさがわかりますよね。
ところで、「V」とは、最初のうちは、訪問者であるビジターの頭文字だと思いきや、ドラマが進むうちに、レジスタンス組織の勝利、ビクトリーの「V」でもあることに気づきます。会話の中にも有名なレジスタンスの英雄の名前もちらほらでてくるこのドラマ、実は過去、現在、未来のレジスタンスたちに捧げられていて、たんなる娯楽ドラマではなかった!のでした。
そういえば、ビジターの正体とはなんでしたっけ? まあ、それは観てのお楽しみに。
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ドラマナビ編集部
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