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2007.05.29

アメリカのテレビ界は、三つ巴の闘いからドングリの背比べへ

アメリカでも、以前は無料でテレビを視聴できたが、20年程前からビルや電波が届きにくい場所ではまず、ケーブルに加入することが受信の条件になっている。ちなみに06年末で、テレビ所有世帯は1億1千万強、65%強の世帯がケーブルに加入している。元々無料で視聴できた地上波放送なのに、ケーブルに加入しなければまともな映像が入らない上、ケーブル受信料はますます高騰していくという、視聴者には踏んだり蹴ったりの現状。

さらに、家族で1台のテレビを楽しんだのは過去のこと。1人1台の昨今、好みの番組を自分の部屋で観ることが常識となった。しかし、ケーブル局は530局余りあって、細分化が進み過ぎたこと、大手ケーブル局の老化現象が進んだことで、新鮮味が薄れつつある。一時はケーブルに飲み込まれるのでは?と心配された地上波放送だが、数年前からヒット作の続出、配信形態の多様化などで、すっかり元気を取り戻した。

というわけで、やはり注目すべきは地上波局の動向。90年代半ばまで地上波局はABCCBSNBCの「3大ネットワーク」の三つ巴の闘いだったが、現在はFOXCWが加わって5局。50年余りの紆余曲折を経てきた3大ネットワーク中、最近首位の座を維持するのはCBS。大型ヒット作品『CSI:科学捜査班』から、舞台をマイアミニューヨークに設定したスピンオフ(派生番組)が誕生とフランチャイズ化で視聴率が安定、『コールドケース 迷宮事件簿』『FBI失踪者を追え!』などブラッカイマーの息がかかった人間味のある捜査ドラマが加わった。これら一話完結型の犯罪捜査ものに人気がでたことが主因だ。ただし、2006年の9月から始まった06~07年シーズンでは、ここ数年視聴率1位の座を守っていた『CSI:科学捜査班』に対抗して、ABCが連続ドラマ『グレイズ・アナトミー 恋の解剖学』を裏番組にぶつけてきた。さし当たり視聴率は互角で引き分けといえる。
ABCは、犯罪捜査番組はCBSにかなわないと、『LOST』『デスパレートな妻たち』『グレイズ』で長年の低迷を脱出この三種の神器に今シーズンの『Ugly Betty』を加え、連続群像劇路線を突っ走ってはいるが、高視聴率がとれる番組もあるものの、まだまだCBSには追いつけない。CBSの『CSI』、NBCの『法と秩序』のような確実に視聴率がとれるフランチャイズが欲しいABCは、5月に『グレイズ』のスピンオフでいよいよ仲間入りか? スピンオフのできにもよるが、最近は本放送翌日の再放送で食傷気味の視聴者も多いから、いまのところ海のものとも山のものともつかない。

NBCといえば、『となりのサインフェルド』『フレンズ』などのコメディーで90年代は無敵だったが、04年『フレンズ』の完了以来、ヒットに恵まれない。木曜日のコメディー枠を奪還しようと努力はするものの、視聴率は5局中の4位。CWは開局1年未満で、まだ視聴率が桁はずれに低いことを考えると、NBCは実質上最下位といえる『Heroes』が今シーズン唯一のヒットだが、評論家の絶賛を浴びながらも視聴率が伸びないドラマ『Friday Night Lights』とコメディー『30 Rock』の継続を発表した。これで、少なくとも評論家の間ではNBCの株が上がった。

96年開局のFOXは、若者対象の「異端児」。『X-ファイル』『アリーmyラブ』『ビバリーヒルズ高校/青春白書』で名を馳せたが、驚異的な視聴率がとれるようになったのは04年のリアリティー番組『アメリカン・アイドル』から。『アイドル』放送日は、他局の追随を許さないが、1年を通じて高視聴率がとれるのは、『HOUSE』のみだ。首位に躍り出るためには、『HOUSE』級の作品がもっと欲しいところ。


昨年9月開局のCWは、WBとUPNを合併した若者向けの局。WBとUPNで放送していた視聴率の高い番組を制作して、週5日午後8時~10時まで流す。『ギルモア・ガールズ』『ヤング・スーパーマン』などに期待がかかったが、まだWB時代の視聴率にも及ばない。月曜日のコメディー枠の充実と、番組の見直しが期待される。『エバーウッド 遥かなるコロラド』を切り捨てたのは大誤算!
首位を維持するCBSの悩みは現状維持に必死の余り、ABCやNBCのような「画期的な番組」「評論家が絶賛する作品」がないこと。ABCは10年余り話題作に恵まれず、清水の舞台から飛び下りるような決断を下したからこそ、三種の神器を手にした。今後もいつ、どの局が首位に躍り出るかは誰にも予測がつかない。以上、現時点での5局の力関係を簡単に説明したが、あくまでも視聴率がベースになっている。次の機会には、アメリカの視聴率という複雑怪奇な怪物についてお話したいと思う。

ライタープロフィール

Meg Mimura

Meg Mimura
幼い頃から、テレビっ子でした。「わくわく、いきいき、にこにこ」と生きてきたら、たどりついた夢の仕事。テレビ評論家として、面白い番組を選んで紹介したり、番組の創作者、プロデューサー、放送作家、俳優などに舞台裏を語ってもらいます。作品の舞台裏を知ると、もっと番組に興味が湧くのでは? 私にとってテレビは恩師、恋人、親友です。

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コメント

アメリカのテレビ事情勉強になりました

こんばんわ。
アメリカドラマの最新事情を知ることが出来て、うれしいですし、前の方と同じく勉強になります。本当にありがとうございます。

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